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製作の背景と思い。

製作の背景と思い。

皆さんこんにちは。

ジャーニー加藤です。

季節も冬へと少しずつ移り変わってきました。

今回は、この冬最大のプロダクト、

ANAHEIM MINKの製作背景と"思い"について話したいと思いますのでどうぞお付き合いくださいませ。

 

----製作の背景と思い----

 

毛皮と聞くと皆さんはどんなイメージを持ちますか?

高級・お金持ちのおばさんが着ている・成金etc...

ざっと並べてみましたが、とにかく高価でお金持ちが所有しているイメージが強い思います。

まぁそれは間違い無く正解なのですが。

でも、僕が今回このANAHEIM MINKを製作するにあたり、上記に挙げたイメージとは異なる背景がある事を、きちんとお伝えしておきたいなと思いブログを書きました。

まず初めに、毛皮にはとても残酷な背景がある事を理解してもらいたいです。

我々がSUNSET BAYで使用している牛革や馬革、もちろん鹿革に至るまで全て食肉の動物の副産物の皮を鞣工程を経て革に加工し使用しています。

我々のYouTubeをご覧頂いている方なら当然知っているとは思います。

しかし、毛皮となると背景が全く異なります。

聞きたくない人もいるとは思いますが、ここは正直にお伝えします。

毛皮として飼育される動物たちの殆どは、大量の成長ホルモン剤を投与され、成長を促進させ毛皮を大きく取れるサイズになり次第屠殺されます。

ホルモン剤を投与された動物の肉は基本的に廃棄以外の選択肢はありません。

そのような残酷な背景を持つ毛皮産業の実態に、ここ数十年で世間の目は非常に厳しくなってきています。

動物愛護団体を始め、その実態を知った多くの人々が反対運動を行い、結果毛皮産業は衰退の一途を辿る事となりました。

大体その辺りまでは良く聞く話なのですが、実はまだ続きがあったんです。

僕が毛皮でジャケットを作ろうと思ったきっかけにもなった話が。

毛皮の文化は旧石器時代よりも古いと言われています。

本来、毛皮とは着飾るものではなく、狩猟した動物の肉を食べ、毛皮を剥ぎ加工して冬の寒さを凌ぐための防寒着として使用されていました。

そして時代が変わり、古代エジプトやローマ時代には毛皮は権力の象徴とされ、中世には王族のステータスシンボルとして広がっていったのです。

ざっくりですがファッションで毛皮が発展したのは19世紀中頃と言われており、

その時代から毛皮は高級なものとして取引され、多くの王族や貴族、権力者達が他にはない毛皮を求め珍獣の毛皮を欲しました。

中にはダイヤモンドに張る程の高値で取引されていた毛皮もあったらしいです。

そして時代はさらに流れ、1970年代をピークに毛皮産業は大いなる発展を遂げました。

世界中に毛皮産業が広がり、需要に応じて生産数も伸びる一方でした。

が、そんな繁栄した時代も80年代には終焉を迎える事になります。

毛皮のためだけに交配させられ成長ホルモン剤を打たれ毛皮になるために屠殺される。

そんな残酷な背景がある事を知った人々は、自然と冷ややかな目でその産業を見るようになりました。

当然ですよね。

ですがその動きと比例して、消費されなくなった大量の毛皮がある事も事実としてあるんです。

毛皮を使用する事がNGな世の中になった事で、屠殺され毛皮になった子たちが衣類にもしてもらえずに棚積みされている現実を皆さんは知っていましたか?

僕は知りませんでした。

そしてそれを知ったと同時にある思いが芽生えました。

そんな苦しい思いをして毛皮になった子たちの命を、せめて洋服として生まれ変わらせて、大切に愛でてあげる事はできないだろうか?と。

もちろん、世界中の毛皮を僕が使い切ることは到底できません。

だからせめて、自分が関わっている工場が在庫している毛皮だけでも形を変えて光を当ててあげたいなと思ったんです。

綺麗事だと思われても別に良い。

ただ自分がやれる事をやれれば良い。

そんな思いを込めてANAHEIM MINKの製作に踏み切りました。

いや、綺麗事ですよね多分。

そこから幾度となく打ち合わせを重ね、毛皮特有の性質に右往左往しながら、数ヶ月を掛けてサンプルを完成させたのですが、

着用した瞬間、本当にビックリしたんですよね。

まるで着ていることを忘れるくらいに軽く、身体に優しく沿う着心地の良さ。

そして、ダウンジャケットをも上回る程の温かさと保温性、更には放湿性を高いレベルで持ち合わせている事を知ったのです。

その実力を知った時に僕は迷わず製品化する事に決めました。

正直、毛皮はとても高いです。

コストもエグいくらい掛かります。

それ故に受注生産という選択をした訳ですが、少しでも毛皮の素晴らしさを皆さんに感じてもらいたいと思い、僅か数着ではありますが、店頭とオンラインでの販売分をご用意する事ができました。

別に売れなくても良いんです。(そりゃできれば売れて欲しいけども)

僕が今回この取り組みをするきっかけとなった思いが少しでも伝われば嬉しいです。

そして、棚積みされた毛皮を少しでも誰かに愛してもらえる洋服にできたなら本望です。

まぁ、作るからには相当な拘りを詰め込んでますので、そこら辺もご期待ください。

ディテールを全部語ると途轍もなく長いブログになってしまいますので、

この子の1番の推しポイントをご紹介します。

 

これ、脱色してる訳じゃないんです。

細長い黒のミンクを綺麗に繋げて一枚の生地を作った後、文字の部分だけを一度切り抜き、切り抜いた部分に再度、白のミンクで作ったSUNSET BAYの文字を埋め込み、縫い目が見えないようにフラットに縫い付けるという、途轍もなく高い技術を用いて製作しているんです。

それ以外にも様々な変更点や毛皮ならではの工夫も随所に落とし込んでおります。

文字では表現できないので、続きは是非店頭で聞いてもらえれば幸いです。

その質感と特性を知ってしまった以上、僕は声を大にして言い続けます。

作るために殺すではなく、生かすために作る。

現在の工場の毛皮がなくなり次第、このプロジェクトは終わりにしたいと思ってます。

終われるほどさばけないと思うけども。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

それでは!

 journey kato.

 

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